日本人にとって古くから馴染みのある「絹」。時代の移り変わりとともに、着物から日用雑貨まで、絹はさまざまなものに姿を変え、私たちの生活のそばにあります。そんな純国産絹を使った商品をご紹介いたします。
2016.09.15 UPDATE
関東平野のほぼ中央、茨城県と栃木県の県境に位置する結城市。この結城市を中心とした地域で生産される絹織物を総じて「結城紬」と呼びます。一説では、崇神天皇の時代が発祥とされるその伝統的な織物は、職人による繊細な手作業によって今もなお作り続けられています。
結城紬は、「真綿かけ」から「地機織り」までの20以上の工程をもって製作されます。昭和31年、真綿からの「糸つむぎ」、「絣くくり」、「地機織り」の3工程が国の重要無形文化財に指定されました。また、永年にわたり手作業の伝統的な工法が継承されていることから、平成22年にはユネスコ無形文化遺産にも選ばれ、名実ともに日本を代表する絹織物として認められたのです。
繭を広げて作った真綿を手でつむぎ糸にする「糸つむぎ」
文政12年創業の小倉商店は、古くからの結城紬を保管する老舗です。彼らはあるとき、昭和後半の一時期に「普通の結城紬とはどこか違う」絹の光沢と張りを持ち合わせた、突出した品質の紬があることに気づきました。この幻の紬を再現したい、という想いから試行錯誤を重ねるうちに、その理由が繭にあることがわかります。昭和後期に使われていたのは、「朝・日×東・海」という蚕種。真綿の引きが強く、切れにくい糸をつくり出すこの繭は、まさに結城紬に最適な繭。こだわりの蚕種が生み出す光沢と独特の風合いを帯びた本場結城紬は、まさに原点回帰の末の逸品です。